大腸カメラ

当院の大腸カメラの特徴

大腸カメラは肛門からカメラを挿入して直腸から盲腸までを観察する検査です。当院ではきつさの少ない大腸カメラを目標として、以下のような工夫を行っています。
大腸カメラ

適切な種類の大腸カメラや鎮静剤、鎮痛剤を用いた検査を行っています

大腸カメラのきつさには個人差があり、全くなんともない方もいれば、痛みなどで非常にきつい方もいます。それは大腸の長さや形にも個人差があるためで、大腸の曲がりが少なく長さが短い方は検査時間や痛みも少ないですが、逆に大腸の曲がりが多く長さが長い方は検査時間が長くなり痛いが出ることが多くなります。特にお腹をあける手術(胃や子宮を取る手術、帝王切開など)を受けられている方などは、腸の形が変化しているため大腸カメラのきつさがどうしても増してしまいます。
そのため、当院では、患者さんの状態にあわせて適切な大腸カメラの種類を選択し(細い径のカメラや硬さの異なるカメラなどがあります。)、適量の眠り薬(鎮静剤)や痛み止め(鎮痛剤)を用いることできつさの少ない大腸カメラを目指しています。

炭酸ガス送気装置を使用しています

大腸は普段縮んでいることが多いため、内部を詳細に観察するためには大腸を膨らます必要があります。以前の大腸内視鏡検査では、空気を送りながら内部の観察を行っていたため検査後も空気が腸の中に残り、検査中だけでなく検査後にもお腹が張って痛むことが多くありました。当院では空気の代わりに炭酸ガスを送気するシステムを導入しており、炭酸ガスは空気に比べて大腸の粘膜から素早く吸収されるため、検査中や検査後の痛みや張りを減らすことができます。

検査当日に日帰りの大腸ポリープ切除が可能です

当院では、大腸カメラでポリープが見つかった場合、そのポリープが日帰りでも切除が可能であるものなら、検査と同時にポリープ切除を行っています。そうすることで、大腸カメラとポリープ切除で計2回の大腸カメラをする必要がなくなり、患者さんの負担が減ると考えているからです。
もちろん、ポリープの切除後は出血の危険性がゼロではありませんので日帰りでポリープ切除術を行った場合、ポリープ切除当日は消化の良いものや刺激の少ないものを普段より軽めにとっていただき、2、3日かけて普通の食事に戻していただきます。飲酒や激しい運動も術後2、3日は控えていただき、手術後1週間程度は出血の危険性があるため、旅行などの遠出は控えてください。血液サラサラの薬(抗血小板薬や抗凝固薬)を飲まれている方や持病などで出血などの合併症の危険性が高い方の場合は、基本的には入院の必要がありますので連携医療機関と協力して治療を行います。
私が以前勤務していた施設では、大腸ポリープ切除後は出血などの危険性があるということで全員が入院となっておりました。しかし、大腸ポリープ切除における出血の合併症の確率は2%程度と報告されており、実際に私の経験からも切除後の出血で来院されて再入院となる方は100人に1人程度でした。つまり、ポリープ切除の99%近く方は出血することは無いということになりますので全員に入院が必要とは思っておりません。
もちろん、先ほど述べたように、出血の危険性が高い大きなポリープや血液サラサラの薬(抗血小板薬や抗凝固薬)を飲まれている方、持病などで出血などの危険性が高い方の場合は、入院でのポリープ切除が望ましいと考えますが、可能な限り患者さんの負担を減らせるように努めていきたいと思っております。

大腸カメラでわかる病気と大腸カメラの必要性

大腸カメラは主に大腸癌や大腸ポリープをみつけることを目的としています。その他には大腸憩室や痔核、潰瘍性大腸炎などがみつかることもあります。
以下のような方は大腸カメラを受けることをお勧めします。
  • 40歳以上で今まで検査を受けたことがない。
  • 便が細くなった。
  • 血便や貧血がある。
  • 体重の減少がある。
  • 最近になって急に便秘や下痢になった。
  • 5年以上大腸カメラを受けたことがない。

検査の流れ

検査の前日
  • 朝や昼ごはんは普通に取っていただいて構いませんが、麺類や海藻などの消化に悪いものは控えてください。(検査前日の食事に関してはスタッフから説明があります)
  • 夕食は21時までに消化に悪いものは避けて、少し軽めの食事としてください。
  • 水分(水やお茶)は普通にとってもらって大丈夫です。
  • 夕食時や寝る前の薬もいつもどおり飲んでいただいて問題ありません。
  • 21時頃に下剤を服用していただきます。
※必要な場合は専用の検査食(1,500円/税込)も用意しておりますのでご相談ください。
検査の当日
■ 前処置
  • 朝食は取らないでください。(朝食時の薬に関してはご相談ください。)
  • 大腸をきれいにするため、検査開始時間の約4時間前から、下剤を飲んでいただきます。
  • 基本的にはご自宅で下剤を飲んでいただきますが、院内で飲むことも可能です。
  • 下剤を内服している最中に、吐き気や嘔吐、腹痛、気分不良などの症状が出た場合は、服用を中止して当院へご連絡ください。
  • 順調に下剤の内服ができ、便が薄い黄色の水便の状態になったら検査可能です。
■ 検査前
  • 最終排便の状態を確認し、検査可能となったら検査着に着替え、腕に点滴を開始します。
  • 大腸の動きを止めるお薬(抗コリン剤)を投与することがあります。(緑内障、前立腺肥大症、心臓病がある方は病状が悪化する危険性があるため使用しません。)
  • 必要に応じて、鎮静剤(眠くなる薬)や鎮痛薬(痛み止め)を投与します。
  • 麻酔のゼリーを使って肛門の診察をします。(麻酔のアレルギーがある方はお申し出ください。)
検査
  • 内視鏡を肛門から挿入して大腸の粘膜を観察していきます。
  • 必要に応じて色素や特殊な光を使って詳細な観察を行います。場合によっては、細胞を採取(生検)して病理検査を行います。
  • 検査の時間は通常15分程度で、長くても30分以内には終了します。
  • ご希望によりその場でポリープの切除を行います。(その場合は少し時間が長くなります。)
  • 腸が長かったり、過去の手術などで腸に癒着があったりすると、強い違和感や痛みが出ることがありますので、必要に応じて鎮静剤や鎮痛剤を追加します。
※検査中の疼痛が強い場合や合併症が起こった場合は検査を中止することがあります。
検査後
  • 検査後は体調などに問題が無ければ、すぐに飲水や食事が可能です。
  • 眠り薬(鎮静剤)を使用した患者さんは、鎮静剤が覚めるまで約1時間はリカバリールームでお休みいただきます。
  • 眠り薬(鎮静剤)を使用した場合は、検査後の車やバイク、自転車などの運転は大変危険ですのでお控えください。

検査の費用について

1割負担 3割負担
大腸内視鏡検査のみ 約3,500円 約7,500円
大腸内視鏡検査+病理検査 約5,000〜7,000円 約11,000〜18,000円
大腸内視鏡検査+ポリープ切除術 約7,000〜10,000円 約20,000〜30,000円